プログラマのアルバイト採用は売り手市場になりにくい

最近は雇用情勢の改善が進み、人手不足が問題になりつつあります。アルバイト採用でもその傾向が顕著でアルバイトの時給が高騰している、などというニュースもよく目にするようになりました。

特にIT業界では、セキュリティやAIなどの分野を中心に深刻な技術者不足に陥るという危機感が強いようです。これからの時代、プログラマのアルバイトも採用されやすくなるのでしょうか?

プログラマ志望のアルバイト応募者は集まるものの採用には至らず

私はいくつかの企業に出入りしてきましたが、それらの企業でも確かに「プログラマの採用」に頭を痛めているようです。ある企業では常に求人サイトに広告を出しており社長が応募者への対応を指示する場をよく目にしますし、別の企業では試験採用されたアルバイトの方と一緒にプログラム開発を行うこともあります。

つまり、「応募者の数」についてはそれなりにあるといえるわけです。単にプログラマの人数が必要なら「採用しようと思えば採用できる」というのが現状でしょう。

最近は学校でもプログラミングを含め基本的なIT技術の教育が行われるようになりましたし、何より「プログラマのアルバイト」は取り組みやすい。

(顧客との仕様調整や必要機材・サービスの調達交渉も担当するSEではなくアルバイトの)プログラマなら、人と話すことが苦手でも「決められた仕様」を満たすシステムを構築できれば務まるわけですから。内気な現代っ子には非常に魅力的な仕事でもあるわけです。

仕事として魅力的で環境面でも「素養」を育む環境が整備されてきているわけですから、当然「(アルバイト)プログラマ志望者」は増えます。開発現場が人手不足からアルバイト募集を続けているのは、他の業界のアルバイトのように「そもそも応募者がいないから」ではないわけです。

プログラマの採用難は応募数よりミスマッチが原因

しかし、私が出入りしている企業では結果として応募者が採用されることはなくプログラマの人数も増えていません。私も何人もの人が社長の判断で「不採用」になる現場、また試験採用されたプログラマが1か月後には姿を消す状況を目の当たりにしてきました。

応募者があっても結果として採用が進まず「現場」が人手不足なのはなぜか。原因は一つしかありませんね。そう、「企業の需要と応募者のスキル・興味のミスマッチ」です。

ソフト開発は、開発者ごとに得意分野やスキルの差が大きく企業で開発するソフトとの「相性」が重要です。正社員の採用であればいわゆるポテンシャル採用で「素養の良い人」を採用して育てる、という方針もありますが、アルバイトでは難しいのでしょう。

また、人手の確保が難しくなる状況では雇用形態としてもアルバイトより正社員を増やす(人材を囲い込む)傾向が強くなる可能性があります。今後、プログラマのアルバイトという職種自体の需要が減っていくかもしれないのです。

人手不足でも売り手市場にはならない

このように、雇用における売り手市場の傾向が強まってもソフト開発を行うプログラマ、特にアルバイトという「即戦力」型の要員を採用する現場は必ずしも「応募者が優位」とは言えない現実があります。

結局は、周りの状況に左右されない常に「求められる」確かな技術を身に着けることが第一なのでしょう。